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執筆者の写真Sumire

フィンランド小学校の教育現場を訪問して

更新日:2022年7月16日


先日、ある小学校で、私の祖国日本をテーマに子供たちに授業をしていただけないかと依頼を受けました。フィンランド語力や人前で話すことに少し抵抗はあったものの、またとない貴重な機会だと思ってすぐに引き受けました。



  この記事ではその時の学校の様子と日本の初等教育を受けてきた私が今回のフィンランドの学校訪問を通じて考えたことを紹介します。尚、フィンランド国内でも地域、学校によって異なると思うのであくまでの私が訪問した町のことだということを頭において読んでいただけると嬉しいです。




  フィンランドの学校では小学校から、その日の個々の時間割によって、学年によって、季節によって登校時間、下校時間が違います。この学校ではこの日の最初の授業スタートが9時でした。私は8時40分くらいに学校に着いたので一通り校内を案内してもらってから職員室で先生方とお話をして授業が始まるのを待ちました。




  ここでフィンランドのコロナの状況について簡単に書きます。2021年5月現在この小学校では生徒はマスク義務はなく、先生方だけがマスクを着用していました。ハグはしてはいけないと先生に言われていましたが子供なので特に密になることも気にせず、すぐにくっついてきました。各教室に入る際、毎度手を洗うというのは徹底されていました。




  まず複式の特別支援学級の朝の会に参加しました。1年生から6年生までの、学校での勉強や集中するのが難しく、助けが必要な生徒、ロシアからの移民でフィンランド語が流暢に話せない生徒などがいました。朝礼、日にち、曜日、天気、名前の日の確認のあと、生徒ひとりひとりのその日の気分を確認する時間がありました。黒板に貼られたイラストにおよそ10段階の顔の絵が書いてあり、各自自分の名前のマグネットを貼るというものです。先生はもちろん子供自身も自分がどんなコンディションで学校に来たのかを確認できるよいシステムだなと思いました。



  10分ほどの朝の会の後に、30分強の時間をもらって私が日本についてお話をする時間が始まりました。パワーポイント、写真、クイズ、動画などをつかって日本に親しんでもらいました。ところどころ先生が助けに入ってくれたのですが、ただ子供に説明するのではなく、読みたい子にスライドを読んでもらう、「日本の首都は東京です」と言ったときには「首都ってな~んだ?じゃあフィンランドの首都は?」、和食の写真を見せた時には、「写真の中にどんな料理がみえる?何か知っている人~?」など、どんどん話題を広げていくのが印象的でした。試験やまじめな授業ではないので一部の生徒は教室後方にあるソファーに座りながら聞いていました。最後に折り紙の話しをし、みんなで簡単な折り紙をしてその時間は終わりになりました。




 次に2年生、5年生のクラスでも授業をしました。5年生のクラスでは他と比べると深い話まですることができました。フィンランドではアニメや漫画、音楽などから日本の文化や日本語に関心を持つ人が多いです。この学校でも数人の日本語を学んでいる小学生に会いました。



  お昼にはカフェテリアで先生方や生徒とランチを食べました。フィンランドでは高校まで学校給食も無償で提供されています。先生と生徒は別々に食べることが多く、先生が生徒に全て食べるように指導することはないので、野菜を全く取らずかなりバランスの悪い食べ方をしている子もいました。



  休み時間は晴れている日はほぼ強制的に全員外で遊ぶことになります。休み時間は常に数人の先生が交代で見守っています。私も2年生の子供につれられて校庭で一緒に遊びました。午後は特別支援学級の授業を見学し、1時過ぎに下校しました。

  自分が小学生だった7年前以来の小学校訪問。1日という短い時間ではありましたが、実際に生徒や先生と会話し、さらに自らが授業を行うというのはとても貴重で有意義な経験となりました。




  祖国である日本についてメディアやYouTubeからの情報ではなく、一日本人の私が対面で行ったこの授業が生徒にどう映ったかはわかりません。私の名前、日本語の挨拶等はすぐに忘れてしまうことかもしれません。でも、ニュースを見た時に「あ、日本ってあの時に聞いた国だよね」と親近感をもったり、進路に迷ったときに「そういえばあの日本人の子、高校でケミヤルヴィに来たっていってたよな。僕もどこか他の国の高校に行ってみたい」というように人生のどこかのタイミングでプラスに繋がる時間になっていたとすればとても幸いです。




  そしてフィンランドの教育について。1日生徒と過ごしてみて、日本の私が受けてきた小学校教育とさほど大きな違いは感じられませんでした。子供たちは元気いっぱいで、あたたかな雰囲気の学校でした。強いて違いをいうとすれば、生徒同士を競い合わせる場面がなかったことだと思います。算数の計算や体育の短距離など、日本では「早くできたほうがいい。早くできた生徒がすごい」と生徒同士を比べるのがあたりまえに行われていますが、フィンランドの学校ではありえないことです。生徒個々の頑張りを褒め、やる気を高められるように先生がサポートをしていました。

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